【Q&A】地震に強い家ってどんな家?
Q.地震に強い家ってどんな家?
A.構造的にシンプルな設計にすると、数字以上に強い家にすることができます。
端的に言うと、四隅に柱のある四角い部屋の組み合わせで、部屋の上に部屋を載せるように二階を設計したような家です。
地震に対して強くするためには、①耐震、②免震、③制震の三つのやり方があります。
②免震と③制震は、免震装置や制震装置などを建物に追加する形になりますので、基本的に装置を付ければ追加で強くすることができます。
①耐震については、リフォームで追加することもできますが、基本的には建物のプランから強度は決まっていきます。
鉄骨や鉄筋コンクリート造の建物を作っている現場を見たことのある方は、大きな柱がそれぞれまっすぐ屋根まで通っているのがわかりましたでしょうか。あれが建物を支えているんだなあ、となんとなく思われたかもしれません。
しかし、それと違って、木造住宅の現場は、たくさんの柱があって、薄い柱も四角い柱も仕上げをすると壁に隠れてしまいます。直感的に「この柱が建物を支えてるんだ」と思うような大きな柱というものはありません(入れてる会社もあります)。
木造も、最初の考え方は鉄骨や鉄筋コンクリート造の建物と変わりません。構造的に大事な柱と、単に間仕切りを作るための柱が同じサイズで混在しているためわかりづらくなっているにすぎません。建物を支える柱と梁が、部分部分で直方体に組まれているのが理想的です。
住まいづくりを考えていくとき、家事の導線や二階の形、部屋と部屋のつながりなどプランから進めるのはもちろんですが、柱・梁の位置を考えたときに、例えば柱が一本少ない直方体になっていると、建物の強度は取りづらくなります。広々としたリビングを取りたくて、梁の長さが10mになってしまえば、木造としてはちょっと厳しいです。
理想は、長さ二間(3640㎜)までの梁で、柱が四本欠けのない状態で組まれているようになっているといいです。ただ、受ける柱が無い部分があっても、梁で受けて別の柱で力を分けて受けるなどしていれば問題なく構造は組めます。もっとも、こういう個所は少ないに越したことはないです。
結局、構造を考えると間取り的にはあまり長すぎない四角い形を組み合わせたものがよいということになります。
二階は、一階の四角い形に載せるようにするとよくなるはずです。
家相で、古い大工の言い伝えで「凸型の家は悪し」「二階の建て増しは悪し」などと言いますが、これらは構造的に不安定なことを経験的に知っていた現場の大工の知恵でしょう。二階建てよりは平屋建ての方が、上にかかる荷重が少ないので耐震上は有利です。同じ理由で、屋根材は重い物(日本瓦など)よりも、スレートやガルバニウムなど軽い物の方が有利になります。重い屋根材は、総じて劣化がしにくい、雨音が室内に漏れないなどのメリットもありますが、軽自動車程度の重さが余分に屋根にかかることになるので、その分建物の耐震性を増す必要があります。瓦でも比較的軽量の物もあるので、耐震性と屋根材の耐久性の両方高めたい場合はそういった建材を検討するのもいいでしょう。
屋根から二階柱、二階床を経由して一階柱~基礎へと力が流れていきますが、その力が途中で別れたりすると複雑になって予期せぬ変形が起こって構造としては不利になります。後は、建物の規模から決まる耐力壁の量を、偏りなくバランスよく配置していくとよいでしょう。許容応力度計算という構造計算を行って、各部材を詳細に検討するとさらによいです。
先に書いた制震ダンパーに代表されるような、制振装置を追加で入れるとさらに安全です。しかし、まずは耐震の構造計画をしっかりした上で、余力として算入するのが原則です。油圧式のダンパーや、建築の金物に制震機能を持たせた物などいろいろな物がメーカーから出ていますが、何を選択したとしても、それを入れれば良くなるというものではないので注意が必要です。
免震装置は、ある一定以上の震度の地震があったときに、建物そのものを揺らして地震力を吸収する目的の装置です。
基礎と建物の縁を切り、ゴムや金属でできたボールなどの揺れを逃れるための部材を挟みます。強い地震でも、建物内は一定以上は揺れないため、屋内の安全性は増します。ただし、装置が高価なのと、設置するために、建物の周囲に空間が必要で狭小敷地には向かない、地震後にメンテナンスが必要などデメリットもあります。一時期はいろいろなハウスメーカーで実装していましたが、積極的に売っている所は今は少ないようです。
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